
【問題】暑くて汗をかくような状況のとき、綿100%のTシャツとポリエステル100%のTシャツのどちらを着たほうが、
体温の上昇を抑えられるでしょうか。(日経グッデイ)
(1)綿100%のTシャツ
(2)ポリエステル100%のTシャツ
正解は、(2)ポリエステル100%のTシャツ。
衣服の素材によって、着ている人の体温上昇の具合は異なります。
神戸女子大学・平田教授らは綿100%のTシャツとポリエステル100%のTシャツを用いて、
温熱環境下での衣服の表面温度と、皮膚血流量を調べる実験を行いました
その結果、ポリエステルの素材の方が体温上昇が抑えられました。
理由は、
汗をかいているときは、綿の素材は、
吸湿性が高くて、さらに繊維内部に水が入り込んで膨れ、中に水分を保持しやすく、
環境へ蒸発されにくいため。
それに比較して、ポリエステルは、吸水性と速乾性を兼ね備えた素材なのでが、
熱放散が促進されやすい。
結果、ポリエステルの方が体温上昇が起こりにくくなる。
また、さらに、綿100%とポリエステル100%のインナーを用いて、
それぞれ皮膚との間に「ゆとりがあるもの」と「密着したもの」とで、
発汗に伴う深部体温の変化を見る実験も行いました。
その結果は
発汗を伴うような暑さのときは、体に密着したポリエステルのインナーを着るのがよいことがわかりました。
その上に着るシャツや上着は、空気が入りやすいゆったりしたものにすれば、
裾から襟元へ空気が抜ける「煙突効果」が期待できるので、体温上昇が抑えられやすいのです。
つまり、シャツ1枚より、密着したポリエステルのインナーを着て、その上にシャツ(ゆったりしたもの)を着たほうが快適に過ごせる。
ということです。
インナーを着ていないと、汗をかいてシャツがべったりと肌に張り付く不快さを避けて通れないうえ、
流れる無駄な汗(無効発汗)が増えて体温調節の効率が悪くなる。
一方、体に密着したポリエステル製のインナーを着ると、皮膚から出る汗を流れ落ちることなく
繊維と繊維の隙間に吸って生地一面に広げ、
素早く蒸発させられ、早くから熱放散を促進するので、体温がそれほど上がらず、汗もすくないのです。
ちなみに、最近では、メントールを入れることによって、より冷感を感じられるようにした素材もありますが
皮膚の温度センサーがメントールを感知することによって、温度は変わらなくても脳は冷たいと感じるだけなので
それだけで体温上昇を防ぐわけではありません。


綿のインナーとポリエステルのインナーで体温上昇を比較した結果
体温上昇はポリエステルの方が少なく
また、インナーにはぴったりと密着するものがよい。
最近は冷感素材もあるが、これは体温上昇を抑える効果はないこともわかった。
今年の夏は特にマスクをしていて熱中症になりやすいので、
正しい暑さ対策をして夏を乗り越えたい。
おしまい
