『花粉症治療の選択肢 舌下免疫療法』 （NHK ｃｈ ）
薬学生のスクラップ 2021年度 第3期 ⑦
完治をめざす「舌下免疫療法」（体験談）
Aさん（48歳・女性）は、30年以上前から花粉症に悩んでいた。
毎年、スギ花粉が飛ぶ季節になると、鼻水や鼻づまり、目・のど・耳のかゆみのために、
ティッシュを箱ごと持ち歩き、夜もまともに眠ることができないほど。
外に出るときには、洗濯物を干すなどの僅かな時間でもマスクとゴーグルが必要だった。
市販の薬をのんでたが、症状はなかなか軽減しない。
そこで耳鼻咽喉科で相談したところ、「舌下免疫療法」を勧められた。
舌下免疫療法とは
舌下免疫療法は、スギ花粉が入ったエキスを舌の下から、
ほんの少しずつ体に吸収させて、次第にアレルギー反応を減らしていく治療法。
スギ花粉が含まれた液状の薬を1日1回2分間舌下で保つ。
3～5年も治療を続ける必要があるが、
花粉症の根治をめざすことができる唯一の治療法と知って、Aさんは舌下免疫療法を受けることに。
舌下免疫療法の開始時期
舌下免疫療法は、スギ花粉が飛んでいない時期に開始する必要がある。
Aさんは花粉シーズンが終わってからさっそく治療を開始した。
舌下免疫療法 その後
3年間治療を続けたところ、スギ花粉が飛ぶ季節になっても、鼻水や鼻づまりに悩まされることがなくなり、
マスクやゴーグルもいらなくなった。花粉症のためにあきらめていた大好きな花見にも、行けるようになった。
Aさんは完治を目指し、さらに2年、合計5年間この治療を続ける予定。
舌下免疫療法 錠剤タイプも
医学生のBさん（女性）もスギ花粉症。鼻水やくしゃみなどの症状がでたときは、
医療機関で処方された抗ヒスタミン薬をのんでいた。しかし舌下免疫療法の錠剤タイプが
2018年から保険適用になったことを授業で知り、この治療を開始。
錠剤タイプと液状タイプの違い
錠剤タイプは、液状タイプよりも使いやすい。
液状の場合、冷蔵で保管する必要があるが、
錠剤は常温保管でよい、
また、舌下にとどめる時間も、液状では2分間だが、錠剤では1分間と短い。
スギだけでなくダニアレルギーにも
Bさんの場合、スギ花粉症だけでなくダニのアレルギーもあり、スギとダニ、両方の舌下免疫療法を行ってる。
舌下免疫療法は通常3～5年ほど続けるが、1年程で効果を実感できる場合もある。
Aさんは次の花粉シーズンにどのくらい改善しているか、楽しみにしている。
学生の感想
実習では舌下免疫療法の開始時の指導の見学を行った。舌下免疫療法は治療効果が発現するまでに時間がかかる。
また、治療期間も長く、短い実習期間では患者さんの改善状況が最後まで確認できないのが残念である。
今回のこの記事で、舌下免疫療法がいかに患者さんの生活の質を高め、お花見などのやりたいことを可能にする
素晴らしい治療法だということがわかった。舌下免疫療法を行った患者さんからのフィードバックを蓄積していくと
新たな患者さんにより明確に治療後の姿をイメージしてもらうことができるので、積極的に治療を検討してもらえると思う。
そのようなよい循環が作れるように、治療中の患者さんからの情報収集を頑張りたい。
おしまい
