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『エーザイ開発のアルツハイマー薬』

『エーザイ開発のアルツハイマー薬 レカネマブ』 

薬学生のスクラップ 2023年 第2期 ⑦

『エーザイ開発のアルツハイマー薬』

アルツハイマー薬 レカネマブ

米食品医薬品局(FDA)は
日本の製薬大手エーザイのアルツハイマー病治療薬「レカネマブ(商品名レケンビ)」を正式承認した。
対症療法ではなく、病気の原因物質の除去をねらった薬が正式承認されるのは世界で初めて。
認知症の薬としては20年ぶりとなる。
日本の厚生労働省にも承認申請されており、近く結果が出る見込みである。

レカネマブとは

 レカネマブは、エーザイが米国のバイオジェンと共同で開発した。
脳内にたまるたんぱく質で、アルツハイマー病の原因とされる「アミロイドβ」を標的とした
抗体医薬品。
認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)と、
軽度認知症の人を対象にした臨床試験(治験)では、
薬を18カ月使うと偽薬と比べて症状の悪化が27%抑えられる結果が出ている。

認知症薬のニーズ

 認知症の患者は2019年時点で世界で5500万人いる。
50年には1億3900万人に増えると予想されており、優れた薬へのニーズは高い。
しかし、病気の発症メカニズムがはっきりしないため、これまで薬の開発は難航してきた。

アデュカヌマブは普及せず

 21年には、同じエーザイとバイオジェンが開発した同じタイプの薬「アデュカヌマブ(商品名アデュヘルム)がFDAから迅速承認を得た。
だが、効果の証明が不十分という見方があり、高齢者向け公的医療保険が原則として適用されずに普及しなかった。
一方、レカネマブは今年1月に迅速承認され、その後エーザイが追加の治験データを提出、今回の正式承認を受けて米国での高齢者向け
保険の適用も決まり、普及に向け前進した。


ただ、脳の腫れなどの副作用や自己負担額などの残る課題も多い。


ひよこ学生の感想ひよこ


高齢化とともに患者数が増えている認知症。国内の患者は2025年には700万人に達すると推計され、
患者全体の6割~7割を占めるとされるのがアルツハイマー病である。
アルツハイマー病は不治の病とも言われ根本的な治療薬がないことが大きな課題であった。
今までのアルツハイマー病の薬は根本的に認知症を治療するものではなく、
進行を遅らせたり症状をやわらげたりする対処療法であった。
作用機序は病気の原因に作用するわけではなく病気によって
脳内に生じる悪影響に作用するという間接的なものであり、
病気の進行を抑える作用はあまり期待できなかった。
今回アメリカで承認されたレカネマブは世界初のアルツハイマー病の
原因物質であるアミロイドβを標的にした抗体医薬品であり、期待が大きい。
しかし課題もたくさんあるだろう。
薬価の問題や投与対象がアルツハイマー病の初期や「軽度認知障害」と
呼ばれる認知症になる前の段階の患者であること、
アミロイドβが溜まっているかの検査が高額であること、
脳内浮腫などの副作用の問題など課題が多い。
日本でも承認されたら薬剤師は薬の主作用、副作用や
金銭的な問題などをしっかり説明して、何かあった時の医療体制を構築して、
患者さんが安心して服用できるようにすることが求められると思う。
高齢化に伴って高齢者の5人に1人が認知症になると言われる時代。
これらの問題を一つ一つ解決していき、この病気に苦しむ一人でも多くの
患者さんや家族にとって希望の光になることに期待したい。


           カメおしまいうさぎ

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『エーザイ開発のアルツハイマー薬』