『熱中症を防ぐための具体的行動』
薬学生のスクラップ2023年 第2期 ⑤
１０年間の熱中症による全国の死者数
厚生労働省の統計では、２０１３年～２０２２年の１０年間で
熱中症による死者数は全国で１万人を超える。
岐阜県多治見市の熱中症対策
岐阜県多治見市は２００７年に観測史上最高の４０．９度を記録した
「元・日本一熱い市」である。住民を暑さから守るために様々な取り組みをしてきた。
例えば、駅近辺や商店街、すべての市立小中学校にはミスト発生装置が配備されており
市内各地で涼しいミストを浴びることができる。
住民にゴーヤの苗を配る「緑のカーテン」プロジェクトも始まっている。
これらが功を奏し、多治見市の熱中症による死者は１０年間でゼロ人である。
熱中症を防ぐためのポイント4点
①水分補給
②室内環境整備
③体調管理
④外出時の準備
である。具体的には・・
①水分補給
１時間ごとにコップ１杯の水を飲む。
１日約１．２リットルが目安
のどが渇く前に水分補給をする
タブレットや飴などで塩分補給も忘れない
②室内環境整備
エアコン、扇風機を使い室内温度を２８度程度に保つ
遮光カーテンやすだれで通気性を保つ
こまめに換気をして室内の空気を停滞させない
③体調管理
こまめな体温測定
保冷剤や氷、冷たいタオルなどで身体を冷やす
体調が悪いと感じた時は自宅で療養する
④外出時の準備
不要不急の外出は避ける
日傘や帽子の着用する
通気性のよい「吸湿・速乾」の衣服を着用する
気温・湿度が高い中でのマスク着用は避ける
おまけ
高齢者やこども、持病のある方などに声かけをする
暑さ指数（WBGT）を確認する
適度な運動も大事
1日3食バランスよい食事や睡眠も大事
学生の感想
連日のように熱中症で救急搬送されたというニュースを聞く。
特に糖尿病患者は熱中症になりやすいので注意が必要だ。
高血糖状態になると、体は血液中のブドウ糖を排出して、
体に必要な水分まで排出されて、脱水症状が起こってしまうことがある。
糖尿病の合併症のひとつの糖尿病神経障害は、体の各部の神経がうまく
働かなくなる病気である。
発汗をコントロールしている自律神経がうまく働かず、暑くても汗をかけなくなり、
体温調節ができなって熱中症になりやすくなることがある。
さらに、暑さや喉の渇きを感じにくくなるため、
気づいたときには脱水症状から熱中症になってしまうこともある。
SGLT2阻害剤を服用している人は副作用として脱水があるので、
特に夏場は注意が必要だ。
投薬の時に1時間ごとにコップ一杯を飲み、
のどが渇く前に水分補給をするように伝えて注意喚起をしていきたい。
水分補給の際にスポーツドリンクは砂糖が多く含まれているのであまり飲まず、
麦茶を推奨していきたい。
特に高齢者は暑さやのどの渇きを感じにくく、
水分を十分に摂ることが難しいので、
熱中症を防ぐための具体的な行動を説明することが大切だろう。
高齢者は心機能や腎機能が低下しがちで、
熱中症になった時の症状がより重くなる傾向があるので、
これからの時期は注意が必要だ。
おしまい
