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『解き明かされる腸内細菌』

薬学生のスクラップ 2022年度 第3期 ⑦

『解き明かされる腸内細菌』(東京新聞)

『解き明かされる腸内細菌』


 100兆個の細菌



私たちの大腸には、100兆個ものさまざまな細菌がすんでいます。
近年の研究で、この細菌が免疫から脳の働きまで、体に欠かせない機能を維持するのに重要な役割を担っていることが分かってきました。
また、この腸内細菌のバランスが乱れると、さまざまな病気につながることも分かってきました。
東京医科大などのグループが、この腸内細菌についての大規模なデータベースをつくり、研究を進めています。

 共生

 体は約三十七兆個の細胞からできていますが、その三倍近い細菌が、おなかの中で、暮らしています。
特に酸素がほとんどない大腸は、細菌にとって暮らしやすい場所なのです。


 腸内細菌が神経伝達物質を作っている


 幸せな感情を引き起こす脳の神経伝達物質セロトニン、
 心を落ち着ける働きがあるGABAを、腸内細菌が作っていることがわかったのです。

 脳腸相関

 脳の働きと腸内細菌の関わりを調べる「脳腸相関」は注目を集め、自閉症やうつ、認知症と腸内細菌の関連が研究されています。
 菌は、私たちが食べて腸まで運ばれた炭水化物などを食べ、さまざまな物質を作ります。
こ の物質が、脳などの神経に加えて、ウイルスなどと闘う免疫の働きにも重要だということです。

 腸内細菌の役割

 腸内にすみ着いている無数の細菌(常在菌)の個別の役割を調べるのは簡単ではありません。
どの菌が健康維持や健康長寿と関わる菌なのか、どの菌がどの病気と関わる菌なのかが分かってきた部分も多いが、
まだまだ知見の蓄積が必要です。
何千種類もの腸内細菌と人間の細胞は、協力し合う複雑なネットワークをつくっているからです。
 病気と関わる菌に見えても実は別のところで大切な役割があるかもしれないのです。
一種の菌だけを増やして病気が治る、といった効果も現状では期待しづらいといいます。

 腸内細菌叢の個人差

 それぞれの人の腸内細菌には違いがあります。
遺伝や環境の影響を受けて3~5歳ごろには「細菌叢(さいきんそう)」のバランスが決まります。
その後の食事、たばこ、アルコール、薬の使用などさまざまな要因で崩れると、
アレルギー、肥満、胃腸疾患、自己免疫疾患などに影響する可能性があります。

 データベースの構築

 この15年、遺伝子解析技術とデータサイエンスによって、
こうした複雑なネットワークが少しずつ解き明かされてきました。
人の便には、腸内細菌の遺伝子が膨大に含まれており、
それらを読み取ることで、腸内細菌の働きがわかってくるようになった。
 研究チームは、4千人分に及ぶ腸内細菌環境と病気、服用している薬、
生活習慣などの関係を調べたデータベースをつくりました。


 薬の影響が3倍以上

 研究の第一歩として腸内細菌に影響を与える要因を調べたところ、
服用する薬が、食、生活、運動習慣のどれよりも三倍以上も強く影響をしていました。
特に、胃酸を抑える胸焼けの薬や糖尿病の薬の一部が、腸内細菌の環境を大きく変えていました。

多数の薬を飲み続けるほど、免疫の働きに重要な細菌が減少する一方、
感染症を引き起こす病原菌や、抗生物質が効きにくい薬剤耐性菌が増えてきました。

 がんやコロナウイルスと腸内細菌

 研究グループではこのほか、早期発見が難しい膵臓がんと関連がある細菌を特定する知見や、
新型コロナウイルス感染症とその合併症と腸内細菌の関係についての研究も発表しています。
こうした知識は、病気を早期に発見することや、病状の悪化のメカニズムの解明に役立つ可能性があります。

 薬の必要性の再検討

今回の研究では750種類以上の薬剤について、どの薬剤がどの程度腸内細菌叢へ悪影響を及ぼすのか、
内服する薬剤の個数がどの程度悪影響を及ぼすのか、カタログを提供できました。
まずは、腸内細菌叢に影響の大きい薬や、多数の薬を服用している場合には、
その薬が本当に必要か見直すことが重要であろう。


学生の感想①ひよこ

腸内細菌に影響を与える薬剤は抗菌薬が主な原因だろうと思っていたが意外にも胃酸分泌抑制薬や糖尿病治療薬の影響が強いことに
驚いた。そもそも胃酸は病原菌を殺菌する作用があるため胃酸分泌が抑制されると病原菌が殺菌されずに小腸まで到達し悪玉菌が小腸で増殖することでクロストリディオイデス・ディフィシル感染症などの日和見感染の原因となるらしい。胃酸分泌抑制薬は実習もよく目にする薬なので、
腸内環境を守るために、薬の適正使用について、医師と相談しながら患者さんに伝えていくことは薬剤師の重要な役割だと思う

ひよこ
薬学生の感想②


 実習中の薬局でもよく使われている抗菌薬が腸内細菌叢のバランスに影響を与えることは知っていたが胃酸分泌抑制薬や糖尿病薬の一部も腸内細菌の環境を大きく変えていることに驚いた。腸内細菌のバランスの崩れがアレルギーや胃腸疾患、自己免疫疾患、肥満、大腸がんとの関連があり脳への悪影響もあるというから特に多数の薬を服用している場合や腸内細菌叢に影響が大きい薬を服用している場合には、服用している薬が本当に必要か見直して適正化することも薬剤師の重要な仕事だと感じた。

                       うさぎ おしまい 熱帯魚

 




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『解き明かされる腸内細菌』